『戦争論』の著者・小林よしのり氏が脳梗塞で入院　尊厳死を口にした理由

小林よしのり氏が脳梗塞で入院しているというニュースに、驚きと心配の気持ちが入り混じっています。漫画『おぼっちゃまくん』や『ゴーマニズム宣言』で知られる小林氏は、単なる漫画家にとどまらず、時代ごとの社会問題や政治的テーマに切り込み、多くの議論を巻き起こしてきた人物です。今回のブログでの報告は、あまりに率直で、生々しいものでした。

左半身のしびれから始まり、脳検査で脳内に血栓が複数見つかり、HCU（高度治療室）で点滴のみの生活を送っていること。そして「今度破裂したら、脳卒中で死ぬか、全身麻痺かもしれない」「尊厳死を考える時が来た」とまで語った一文は、ファンでなくとも胸に刺さります。長年、時に過激ともいえる発言を続けてきた小林氏ですが、その強い言葉の裏には常に“生き方”に対する真剣な姿勢があったと思います。だからこそ、今回の弱音とも取れる表現は、非常に重く響きます。

小林氏の作品や発言は、賛否が激しく分かれることも少なくありませんでした。『戦争論』では自虐史観批判を掲げ、『ゴーマニズム宣言』では女系天皇容認論を唱え、保守派の一部から反発を受けることもありました。しかし、彼の強みは、批判を恐れず自らの考えを堂々と公表し続けた点にあります。そうした姿勢は、今の時代には貴重であり、同時に多くの議論を促す力を持っていました。

脳梗塞は、高齢化社会において誰にでも起こり得る病気です。生活習慣や遺伝的要因だけでなく、長年のストレスや過労も影響すると言われます。今回の件を通じて、読者やファンはもちろん、社会全体が健康管理の重要性を改めて考えるきっかけになるのではないでしょうか。特に小林氏のように、常に社会と対話し続ける人が倒れることは、多くの人に衝撃を与えます。

彼が「尊厳死」という言葉を使った背景には、単に病状の重さだけでなく、自らの人生観や価値観が色濃く反映されているはずです。人は誰しも、いつか“その時”を迎えますが、自分らしい終わり方をどう迎えるかは、簡単に答えが出せるテーマではありません。小林氏が今後、どのような選択をし、どんな発信をしていくのか、多くの人が見守ることになるでしょう。

今回の入院が、単なる終わりの宣言ではなく、むしろ人生や社会に対して新しい問いを投げかけるきっかけになることを願っています。そして何より、まずは無事に回復し、再びその独特の視点から世の中を切り取る姿を見せてくれることを期待しています。