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道頓堀への飛び込みに疑問の声、阪神優勝後の道頓堀ダイブが話題

阪神優勝後、道頓堀川への飛び込みを伝える投稿に注目が集まり、Xでは祝福の仕方や危険な行動を巡る反応が見られます。

そこで本記事では、話題になった投稿を入り口に、以下の4つの構成でニュースや知っておきたい豆知識をお届けします。

  1. 道頓堀への飛び込みを伝えるニュース紹介。
  2. 「溺水の死亡統計と死因を調べる研究」に関する2つの豆知識。
    溺水の死亡者数は火災の約6倍!?数字を比べるときの注意点。
    AIが90%以上の正答率で溺死を判別!?研究の条件と課題。
  3. Xのコメントまとめ。
  4. 筆者の感想。

今回のニュースに注目しながら、溺水の死亡統計や死因を調べる研究にまつわる豆知識も身につけていただき、水の事故を身近な問題として改めて考えるきっかけになれば幸いです。

それでは早速、道頓堀への飛び込みを伝える投稿から見ていきましょう。

道頓堀への飛び込みを伝えるニュース情報

今回の阪神優勝後の道頓堀に関する投稿をご紹介します👇

今回の道頓堀への飛び込みをきっかけに、水の事故を社会全体の数字と研究から考える、溺水の死亡統計と死因を調べるAIに関する2つの豆知識をご紹介します。

溺水の死亡者数は火災の約6倍!?
数字を比べるときの注意点。

火災と溺水では、年間に亡くなる人の数はどのくらい違うのでしょうか。

2023年の公表値を比べると、不慮の溺死・溺水による死亡者数は、火災による総死者数の約6倍になります。※1※2

ただし、これは異なる統計の死亡者数を比べた結果であり、「一人一人の危険度が6倍」という意味ではありません。

統計が示す死亡者数の違い

消防庁によると、2023年の火災による総死者数は1,503人でした。※1

一方、厚生労働省の2023年の人口動態統計では、「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は8,993人です。※2

8,993を1,503で割ると約5.98となり、人数の単純な比では約6倍になります。

しかし、火災統計の総死者数と、人口動態統計の不慮の溺死・溺水は、集計の枠組みが異なります。

そのため、同じ条件で事故1件当たりの危険性や、個人の死亡確率を比較した数字として扱うことはできません。

印象と数字がずれる理由――思い出しやすさの影響

身近な危険を考えるとき、私たちは印象に残ったニュースを思い浮かべがちです。

成城学園の解説では、火災と溺死の死亡者数を例に、報道の頻度や印象が危険の捉え方に影響する可能性を説明しています。※3

思い出しやすい情報をもとに、出来事の起こりやすさを判断する傾向は、「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれます。※3

ただし、この解説だけで、2023年の火災と溺水の報道件数を比較したことにはなりません。

印象だけで判断せず、実際の統計も確認することが、危険を考える助けになります。

日本の浴槽事故の深刻さ

溺水という言葉から海や川を思い浮かべても、家庭の浴槽で起こる事故にも注意が必要です。

消費者庁の2020年の資料によると、2019年の65歳以上の不慮の溺死・溺水による死亡者6,901人のうち、家や居住施設の浴槽で亡くなった人は4,900人でした。※4

その割合は約71%ですが、日本の全世代の溺水死について示した割合ではありません。※4

同資料では、高齢者の浴槽内での溺水死亡事故は、1月をピークに11月〜4月に多いことも示されています。※4

入浴中の事故には、温度変化による血圧の変動や、熱い湯に長くつかることで起こる体温上昇などが関わり得ます。※4

すべての事故を「ヒートショックが原因」とまとめて説明することはできません。

消費者庁は、脱衣所や浴室を暖めること、湯温や入浴時間に注意することなどを呼びかけています。※4

溺水の死亡統計には、川や海での事故だけでなく、日常の入浴に関わる事故も含まれます。

大きな数字を見たときには、その内訳と対象を確かめることが大切です。

自分に関わる場面を具体的に考え、暮らしの中で実行できる安全対策につなげましょう。

AIが90%以上の正答率で溺死を判別!?
研究の条件と課題。

水中で発見された遺体について、死因が溺死かどうかを判断することは、法医学上の難しい課題です。※5

死後CT画像をAIで解析する研究では、高い分類性能が報告される一方、条件によって結果が変わることや、判断根拠の課題も示されています。※5※6

従来の溺死診断が抱えていた難しさ

水中で発見されたという事実だけでは、その人が溺れて亡くなったとは断定できません。※5

溺死を判断するには、解剖所見だけでなく、発見現場の状況や、ほかの死因の可能性も検討する必要があります。※5

死後CTは診断を補助できますが、肺などに見られる変化には、溺死以外でも起こり得るものがあります。※5

そのため、画像の微妙な違いを読み取る経験や専門知識が重要になります。※5

死後の画像は、生きている人の検査画像と同じように解釈できるとは限りません。※5

AI診断研究で示された性能と条件

2023年に掲載された研究では、溺死153例と溺死以外160例の胸部CT画像を使い、深層学習による分類を検討しました。※5

蘇生処置が行われていない236例では、216例を正しく分類し、正答率は92%でした。※5

一方、蘇生処置が行われた77例では、正しく分類したのは62例で、正答率は81%でした。※5

このため、「AIなら常に90%以上の精度で死因を特定できる」と一般化することはできません。

研究者は、積極的な心肺蘇生が行われた場合などには、この方法による死因診断に注意が必要だとしています。※5

この研究で解析したのは主に肺のCT画像であり、胃の泡を自動検出する仕組みとして説明することは適切ではありません。※5

AIの判断根拠を巡る新たな課題

高い正答率が示されても、AIが医学的に重要な場所を見て判断しているとは限りません。

東北大学が2024年に紹介した研究では、AIが注目した領域と、専門医が医学的所見として示した領域を比較しました。※6

紹介された例には、両者の一致が30%未満のものと、80%を超えるものがありました。※6

これは診断の正答率が30%という意味ではなく、画像上で注目している領域の一致に関する数字です。※6

正しく分類できた場合でも、その根拠にずれがある可能性が示されています。※6

研究では、専門知識を学習や検証に取り入れ、判断の信頼性を確かめる必要性が指摘されています。※6

AIは法医学の判断を支える可能性がありますが、単独であらゆる死因を確定する道具ではありません。

性能の数字と、どのような条件で何を判断したのかを一緒に読むことが大切です。

技術の進歩に期待しながら、専門家による検証と総合的な判断の重要性も理解しておきたいところです。

Xのコメントまとめ

それでは、道頓堀への飛び込みについて、Xで寄せられたコメントを紹介していきます。

以下は個別URLを確認できた投稿であり、X全体や阪神ファン全体の意見を示すものではありません。

筆者のコメント

道頓堀への飛び込みを伝える投稿を見て、目立つ映像の勢いと、命に関わる問題の重さとの間に距離があると感じました。

短い動画では、飛び込んだ瞬間や周囲の反応が中心になり、その前後の事情までは伝わりません。

見ている側が盛り上がった場面だけを受け取ると、危険な行動まで祝福の一部として記憶してしまうかもしれません。

阪神の優勝を喜ぶことは素晴らしいですが、その喜びを表すために、自分や周囲の安全を危険にさらす必要はないと思います。

今回、溺水の死亡統計を確認して、海や川の事故だけを想像していた自分の認識も見直しました。

浴槽の事故が含まれると知ると、水の事故は特別な場所でだけ起きるものではなく、日常の中にもある問題だと感じます。

外出先で危険な川に入らないことも、家で安全に入浴することも、同じように大切にしたいです。

ただ、火災との死亡者数の比をそのまま「6倍危険」と言ってしまえば、数字の意味が変わってしまいます。

印象的な比較だからこそ、何を数えた統計なのかを伝える責任があると思いました。

また、AIによる溺死の判別研究は、技術の可能性と同時に、判断の難しさを教えてくれる内容でした。

92%という数字だけを見ると、ほとんどすべてを正しく判断できるように感じるかもしれません。

しかし、蘇生処置の有無によって結果が違い、正しく分類できても専門医と注目する場所が一致しない例があることを知ると、数字だけで安心できないとわかります。

これは、今回の投稿に映った人の状態や、その後の経過を説明する研究ではありません。

一般的な研究を、個別の出来事についての推測に使わないことも大切だと感じます。

私たちは知らない部分があると、もっともらしい情報で埋めたくなることがあります。

それでも、確認できない被害や飲酒の有無を決めつければ、別の誤解を広げてしまいます。

今回の記事では、投稿から受け取れる話題と、統計や研究から学べることを、それぞれ丁寧に考えたいと思いました。

Xには、飛び込みをファン全体の行動として扱うことへの反発や、報道の見せ方を疑問視する声もあります。

私も、危険な行動を批判することと、応援する人たち全体を否定することは分けるべきだと思います。

注目を集める行動ばかりが前に出ると、静かに喜んでいる多くの人の姿が見えなくなるからです。

優勝の思い出を残すなら、選手の努力や仲間と共有した喜びを中心にしたいです。

その場の盛り上がりが落ち着いたあとも、誰も傷つかず、気持ちよく振り返れる祝い方を選べたらと思います。

水辺の危険を知ることが、自分の行動を一度立ち止まって考えるきっかけになってほしいです。

楽しい出来事を無事に楽しみ切ることも、応援する気持ちを大切にする一つの形だと感じました。

引用文献

  1. ※1 総務省消防庁「令和5年(1〜12月)における火災の状況(確定値)」。
    https://www.fdma.go.jp/pressrelease/statistics/items/d0ce6161610fa99185c6f04a1ded7960c9399fb4.pdf
  2. ※2 厚生労働省「令和5年人口動態統計・第7表 死因簡単分類別死亡数・死亡率」。
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei23/dl/11_h7.pdf
  3. ※3 成城学園「リスクに対する感じ方・捉え方のクセ:リスクとメディアの心理学」。
    https://note.com/seijo_university/n/n47b555b08b8b
  4. ※4 消費者庁「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください」。
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf
  5. ※5 Ogawaraほか「Diagnosing Drowning in Postmortem CT Images Using Artificial Intelligence」、The Tohoku Journal of Experimental Medicine、2023年。
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjem/259/1/259_2022.J097/_html/-char/en
  6. ※6 東北大学「Team Studies Medical Validity of Deep Learning Models in Diagnosing Drowning」、2024年2月27日。
    https://www.tohoku.ac.jp/en/press/team_studies_medical_validity_of_deep_learning_models_diagnosing_drowning.html
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