
上司を名字に「さん」を付けて呼ぶことを望ましいとする人が増えているというニュースをきっかけに、職場の習慣に関心が集まっています。
そこで本記事では、話題になったニュースを入り口に、以下の4つの構成でニュースや知っておきたい豆知識をお届けします。
- 上司への「さん呼び」を巡るニュース紹介。
- 「休息と快適な作業環境」に関する2つの豆知識。
仕事や勉強で休息を後回しにしていませんか?睡眠中の脳の「老廃物除去」を調べた研究仕事や勉強の快適さは室温でも変わる!温度・湿度と作業環境の関係
- Xのコメントまとめ。
- 筆者の感想。
今回のニュースに注目しながら、休息や作業環境にまつわる豆知識も身につけていただき、無理なく働ける環境について改めて考えるきっかけになれば幸いです。
それでは早速、上司への「さん呼び」を巡るニュースから見ていきましょう。
上司への「さん呼び」を巡るニュース情報
今回の上司への「さん呼び」に関するニュースをまとめました👇
今回の職場の呼び方を巡るニュースをきっかけに、働きやすさを考えるうえで知っておきたい、休息と快適な作業環境にまつわる2つの豆知識をご紹介します。
仕事や勉強で休息を後回しにしていませんか?
睡眠中の脳の「老廃物除去」を調べた研究
仕事や勉強が忙しいと、休憩や睡眠を後回しにしてしまうことはありませんか。
休んでいる間にも、体の中ではさまざまな働きが続いています。
2013年に発表されたマウスの研究では、睡眠中に脳内の老廃物の除去が促されることが報告されました。※1
この研究を手がかりに、夜の睡眠と日中の休憩、それぞれの役割を見ていきましょう。
睡眠中の脳で観察された老廃物の除去。
脳内の物質の移動や除去に関わる仕組みは、「グリンパティック・システム」と呼ばれています。※1
2013年の研究では、マウスの睡眠・覚醒状態と、脳内の液体や物質の動きが調べられました。※1
睡眠中や麻酔下では、脳細胞の間の空間が広がり、脳脊髄液と組織間の液体の交換が増えることが観察されました。※1
また、アミロイドβなどの物質の除去が、覚醒時より促される結果が報告されています。※1
これは、睡眠が脳内の物質の管理にも関わる可能性を示した研究です。※1
日中の休憩と睡眠は、同じものではない。
このマウスの研究から、人が数分間仕事を休むだけで、睡眠と同じ老廃物除去が起こるとは言えません。
また、「休憩を取らないと毒素が蓄積して認知症になる」と直接結び付けることもできません。
一方、日中の短い休憩には、別の研究から得られる知見があります。
2022年のメタ分析では、10分以内の短い休憩について、活力の向上と疲労の軽減に小さな効果が確認されました。※2
ただし、作業成績全体の改善は統計的に明確ではなく、休めば必ず仕事の成果が上がるという結果ではありませんでした。※2
睡眠と短い休憩を区別し、それぞれの研究で何が分かったかを見ていくことが大切です。
自分に合った休息を取り入れる。
仕事の区切りで飲み物を用意したり、席を離れたりする時間を設けてみましょう。
画面を見続けているなら、いったん別の方向へ目を向けるだけでも、作業を中断するきっかけになります。
「休んだら必ず効率が上がる」と期待しすぎず、自分の疲れ方や戻った後の感覚を確かめてみてください。
負担の大きい作業からの回復には、10分を超える休憩が必要になる可能性も、メタ分析では指摘されています。※2
また、日中に少し休めたからといって、夜の睡眠を削ってよいわけではありません。
一日の予定を考えるときには、作業時間だけでなく、終業後に休む時間も先に確保しておきたいですね。
睡眠中の脳では、目を覚ましているときとは異なる働きが起きていることが研究されています。※1
日中の短い休憩にも、疲労感や活力を整える助けになる可能性があります。※2
夜の睡眠と仕事中の休憩の両方を、自分の生活の中でどう確保するか考えてみてはいかがでしょうか。
仕事や勉強の快適さは室温でも変わる!
温度・湿度と作業環境の関係
部屋が寒すぎたり、蒸し暑かったりして、仕事や勉強に集中しにくくなったことはありませんか。
作業環境を考えるとき、机や椅子だけでなく、温度や湿度も気になる要素です。
大学の研究では、温湿度と、作業の成績や疲労感との関係が調べられています。※3※4
実験の結果を、その条件も含めて見ていきましょう。
室温は高ければよい、低ければよいとは限らない。
コーネル大学が2004年に紹介した職場の調査では、室温が約20℃から約25℃に上がった際、タイピングのミスが減り、入力の量が増えたと報告されています。※3
この結果は、寒い環境が作業に影響する場合があることを考える材料になります。
ただし、一つの職場で得られた結果を、そのまますべての仕事や人に当てはめることはできません。
動き回る仕事と、長時間座って行う仕事では、同じ室温でも感じ方が違うでしょう。
数字だけを見て設定を決めるより、実際に作業する場所で、暑さや寒さを確かめてみたいですね。
湿度の違いは疲労感にも関わる。
早稲田大学の研究者らによる2007年の実験では、暑く湿度の高い環境から別の環境へ移った後の、快適さや作業が調べられました。※4
参加者は30℃・相対湿度70%の環境に15分間滞在した後、湿度の異なる条件で模擬的なオフィス作業を行いました。※4
移動後の環境では、温熱環境の指標であるSET*を25.2℃にそろえるよう、気温が調整されています。※4
湿度の条件によって主観的な作業成績に差は見られませんでしたが、湿度70%では、より疲れたという回答が得られました。※4
この実験は、「高温多湿にいた人は一律に作業効率が6%下がる」という結果ではありません。
作業の成績だけでなく、本人が感じる疲れや快適さにも目を向けたいという点が、日常で考えるヒントになります。
季節や体感に合わせて環境を整える。
温度や湿度を見直すときは、まず机の近くで実際の状態を確認してみましょう。
エアコンの設定温度だけでは、自分が座っている場所の暑さや寒さを判断しにくいことがあります。
直射日光が当たる席なのか、風が直接届く席なのかも、一緒に確認してみてください。
寒いと感じる人と暑いと感じる人が同じ部屋にいるなら、設定の変更に加えて、席の位置や風向き、服装の調整を相談する方法もあります。
湿度についても、表示された数字と自分の感じ方を合わせて確認すると、環境の変化に気付きやすくなります。
季節が変わるときには、それまでの設定が今の作業環境にも合っているか、改めて見直してみましょう。
温度や湿度は、快適さや作業のしやすさを考える材料になります。
一方で、すべての人に共通する「必ず成果が上がる設定」があるとは言えません。
自分と周囲の人が無理なく過ごせる環境を、実際の体感も踏まえて探してみてください。
Xのコメントまとめ
それでは、上司への「さん呼び」を巡るニュースについて、Xで寄せられたコメントをまとめましたので、紹介していきます。
筆者のコメント
今回のニュースを読んで、職場の働きやすさは、日々の小さなやり取りからつくられるのだと感じました。
上司を名字で呼べることに、親しみや話しかけやすさを感じる人もいるでしょう。
一方で、長く役職名で呼んできた人にとっては、急に「○○さん」と言うことに少し照れや違和感があるかもしれません。
どちらの感覚も、その人が経験してきた職場の習慣から生まれるものだと思います。
私は、呼び方を変えるなら、その先にどんな職場を目指すのかも、一緒に考えられるとよいと感じました。
名字で呼ぶようになっても、意見を伝えづらかったり、困っていても助けを求められなかったりするなら、働く人の負担は残ります。
普段の言葉を変えることが、受け答えや相談の仕方を見直すきっかけになるといいですね。
特に大切だと思うのは、「少し困っている」と言えることです。
大きな問題になる前に相談できれば、周囲も状況を把握しやすくなります。
忙しいときでも一度話を聞いてもらえる、今は難しければ後で話す時間を決めてもらえる、そんな対応には安心感があります。
こうした話しやすさは、今回紹介した休息や作業環境の話にもつながると感じました。
例えば、疲れがたまっていても、休憩を申し出づらい雰囲気だと、無理を続けてしまう人がいるかもしれません。
部屋が寒いと感じても、「自分だけかもしれない」と我慢してしまうこともありそうです。
一つ一つは小さく見える困りごとでも、毎日続けば、仕事をする時間の負担になります。
「少し席を外します」「この席は風が強いです」と自然に伝えられることも、働きやすさの一部ではないでしょうか。
もちろん、自分の希望だけで職場のすべてを変えられるわけではありません。
同じ部屋でも暑いと感じる人と寒いと感じる人がいて、忙しい時間帯も人によって異なります。
だからこそ、まず状況を共有し、できる調整を探すことが大事だと思います。
休息についても、忙しい日ほど「今日は仕方がない」と後回しにしやすいですが、それが続いていないかは振り返りたいです。
仕事を終えた後に落ち着いて休める時間まで含めて、自分の働き方を考えてみたいと感じました。
私は今回のニュースを、呼び方という身近な話題から、職場での過ごし方を見直す機会として受け止めています。
相手をどう呼ぶかだけでなく、その人の困りごとにも耳を傾けられる関係を大切にしたいです。
無理を隠さずに伝え、周囲と相談しながら働けることが、毎日を続けていくうえでの安心につながると思います。
引用文献
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※1 Xie, L., et al.(2013)「Sleep Drives Metabolite Clearance from the Adult Brain」Science, 342(6156), 373–377。
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※2 Albulescu, P., et al.(2022)「“Give me a break!” A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance」PLOS ONE。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0272460
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※3 Cornell Chronicle(2004年10月19日)「Study links warm offices to fewer typing errors and higher productivity」。
https://news.cornell.edu/stories/2004/10/warm-offices-linked-fewer-typing-errors-higher-productivity
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※4 Tsutsumi, H., et al.(2007)「Effect of humidity on human comfort and productivity after step changes from warm and humid environment」Building and Environment, 42(12), 4034–4042。




















