
フジテレビおよびフジ・メディア・ホールディングスの取締役を務めていた安田美智代氏が、不適切な経費精算を行っていたとして辞任しました。期間は2020年からの5年間、件数は約60件、総額はおよそ100万円。金額だけを見れば「大ごと」とは言い難いかもしれませんが、問題の本質は金額ではなく“立場と倫理”です。取締役という経営の中枢にいる人物が、事実と異なる申請を繰り返していたという事実は、企業全体の信頼性に大きな影を落とします。
今回の件は、社内のチェック機能によって発覚しました。フジ・メディア・ホールディングスの監査等委員会とフジテレビの監査役が、外部専門家を交えて詳細な調査を行い、不正が確認されたとのこと。安田氏本人は事実を認め、返金の意向を示すとともに辞任を申し出ました。フジテレビの清水賢治社長は「全社一丸で改革に取り組む中での出来事は断じて許されない」と述べています。この発言には、局としての焦りと危機感が滲んでいました。
ここ数年、テレビ業界全体が視聴率競争や人材流出など厳しい状況に直面する中で、フジテレビは組織改革や新体制への移行を進めていました。その矢先に起きた役員の不祥事は、社内外に大きなダメージを与えたと言えます。特に、報道を担うメディア企業においては、「説明責任」や「透明性」は何よりも求められるもの。報道の信頼性を保つためにも、自社の倫理が厳しく問われる立場です。
一方で、今回の件が社内のチェック機能によって発覚したという点には、一筋の光も見えます。外部のリークや告発ではなく、内部監査が機能したということは、組織としての“免疫反応”が働いている証拠でもあります。重要なのは、この一件を一時的な処分で終わらせず、「なぜ見過ごされてきたのか」「どの段階で防げたのか」を明確にし、再発防止の仕組みに落とし込むことです。
安田氏が行っていたという“手土産などの経費申請”は、取材活動や交際費の一環としてグレーゾーンに位置する領域です。だからこそ、その線引きを曖昧にしたまま放置すると、やがて“組織の慣習”として定着してしまう。100万円の不正を「小さな問題」と片づけるか、「組織文化の歪み」として捉えるかで、フジテレビの今後が大きく変わるはずです。
信頼を築くのは何年もかかりますが、失うのは一瞬。今回の辞任が「痛恨の結果」で終わるのか、それとも本当の改革のきっかけになるのか――今、フジテレビの真価が問われています。
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エレ
@ele_chanフジテレビ・安田美智代取締役が辞任 会食費用など「事実と異なる経費精算」複数確認 times.abema.tv/articles/-/102…
1974年10月1日吉川浩司
@kouji_mitaフジテレビの不正経理 pic.x.com/FbFBqQQ7u6
藤原直哉
@naoyafujiwaraフジテレビの女性取締役、会食や手土産代などで経費不正…一連の問題による経営陣の刷新で就任したばかり yomiuri.co.jp/culture/tv/202…
はるみ師匠
@nagarebosi0777不正フジテレビどうなった















