
キングオブコント2025の夜は、まさに“笑いのドラマ”でした。18代目王者に輝いたのは、コンビ結成15年目を迎えるロングコートダディ。トップバッターという最も不利な順番からスタートしながらも、堂々としたネタ構成と圧倒的な演技力で審査員と観客の心を掴みました。あの“ポリス ピース”の一言には、堂前透さんらしい照れとユーモア、そして長年支えてくれた人々への感謝が凝縮されていたように感じます。3449組という過去最多のエントリーの中で勝ち抜くことは簡単なことではありません。特にここ数年、キングオブコントは“完成度の高さ”や“構成力”が求められる大会へと進化しており、笑いの好みだけでなく、演技やテンポ、空気感までが勝敗を左右する厳しい舞台です。その中でロングコートダディは、ただ面白いだけでなく、観る人の心を和ませるような“やさしい笑い”を届けました。堂前さんの静かなボケと兎さんの柔らかなツッコミのバランスが絶妙で、見る側に余白を残す演出が印象的でした。トップバッターでありながら審査員の記憶に残り、最後まで得点で勝ち切ったことは、実力の証そのものです。特にファイナルで見せたネタは、単なるコントを超えて“物語”として完成しており、観客が息を飲む瞬間がいくつもありました。堂前さんの地元・福井ではすでに祝福ムードが広がっており、「地元の誇りだ」「ついにやった」といった声が相次いでいます。かつて地味だと言われた芸風を貫き続け、時代に合わせて形を変えながらも、芯の部分では“自分たちらしさ”を失わなかったことが今回の勝因だと思います。お笑い界は次々と新しい才能が生まれる中で、ロングコートダディのように“時間をかけて面白くなっていく”芸人が頂点に立ったことには大きな意味があります。瞬間の笑いではなく、積み重ねた努力の笑い。だからこそ、多くの視聴者が心から拍手を送ったのではないでしょうか。堂前さんの「ポリス ピース」は、その努力と感謝を象徴する“平和のサイン”に見えました。
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