現在の日本の生活保護の現状がヤバい・・・

生活保護制度は、日本社会における最後のセーフティネットとして、非常に重要な役割を果たしています。近年、SNSやメディアなどで「働かない人が楽をしている」「不正受給が多い」などの批判的な声が上がることがありますが、生活保護制度の本質を見誤った議論が少なくありません。本当に大切なのは、「誰もが安心して生きられる社会」を守ることです。

まず、生活保護は「怠け者を甘やかす制度」ではありません。病気や障害、失業、DV、家庭崩壊、介護離職、コロナ禍など、予期せぬ出来事によって、誰でも明日には生活に困る立場になる可能性があります。そうした時に、最低限の生活を保障してくれる制度があることは、私たち全員にとっての安心材料であり、人間としての尊厳を守る仕組みです。

「働けるのに働かない人がもらっているのはおかしい」といった意見もありますが、実際の生活保護受給者の多くは高齢者、障害者、母子家庭など、就労が困難な状況にある人々です。また、就労支援や自立支援プログラムと連携しながら、できる範囲での社会参加を促す仕組みも整っています。

不正受給があるのは事実ですが、全体のわずか数％であり、それを理由に制度そのものを否定するのは、火事の予防で水道を止めるようなものです。不正には厳しく対応しつつ、困っている人が正当に使える仕組みを守ることが、より健全な社会につながります。

生活保護を受けている人たちは、決して「楽をしている」わけではありません。制度を利用すること自体に強い心理的ハードルがあるほか、偏見や差別にさらされることもあります。中には、「生活保護を申請したら家族に迷惑がかかる」「世間にバレるのが怖い」といった理由で、本来受けられる権利を放棄してしまう人も少なくありません。

生活保護制度は、国民の「生きる権利」を支える最後の砦です。もしも制度がなければ、困窮する人々は犯罪に走ったり、健康を害して命を落としたり、さらに社会全体の負担が大きくなることになります。制度を通じて人々が生活を立て直し、再び社会の一員として活躍する道を支えることこそが、持続可能で温かい社会のあり方です。

生活保護は、私たちの社会が「誰ひとり見捨てない」ことを証明するための、大切な仕組みなのです。